Megribaメンターインタビュー vol.4 大森貴之さん
【Megribaメンターに聞いてみよう!vol.4】
“学業と事業の気になる関係とは?”

今回は、学業と事業の関係について、オックスフォード大学院に通いながらご自身の会社を経営されている、ルーテックス株式会社(RouteX Inc.)CEO・大森貴之さんにお話を伺いました!
早速ですが、大森さんの現在の活動について教えてくださいますか?
現在は大学院生の時に学生起業した新規事業創出や海外進出支援を行う会社RouteX Inc.の経営を行いながら、オックスフォード大学のExecutive MBAに在籍し、毎月イギリスと日本を行き来する生活をしています。Executive MBAは通常のミッドキャリア向けのMBAとは違い、大企業の経営幹部層や政府高官、起業家等を対象としたMBAです。
日本から毎月イギリスまで通学しているのですか?すごいですね。Executive MBAはMBAが更に高度になったような響きですが、実際にはどのような方がクラスメイトでいらっしゃるのですか?
平均年齢40歳前後のクラスメイトです。経験豊富で全く違ったバックグラウンドを持った人達とのディスカッションで、私自身も毎月鍛えられています(笑)
また、オックスフォード大学の起業家育成プラグラムにも参加し、フードテックをテーマに新しいビジネスにもチャレンジしようと準備しています。

フードテックで新規ビジネスですか?! それは大森さんの今後のご活躍がますます楽しみです。
では、次に大森さんのこれまでについてお伺いしたいのですが、ルーテックス株式会社を立ち上げたのは、京都大学大学院在学中の時に法人設立に至ったとお聴きしましたが、その経緯や学生×起業家の背景について教えてくださいますか?
現在の会社は、私が京都大学経営管理大学院に在籍していた24歳の時に設立しました。大学院では2つのゼミに所属し、それぞれ「シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムリサーチ」や「日本企業の海外進出戦略立案支援」等のテーマで勉強していました。
大学院でのゼミのテーマに関連した起業だったのですね!
そうなんです。実際の飲食業界大手の企業さんに対して海外進出支援コンサルティングを行う前提で戦略立案を行い、現地トレンドリサーチのためにインドネシアのジャカルタに京大のゼミ活動費から派遣していただいたりもしました。また、教授や友人にシリコンバレーで活躍する方々を紹介いただき現地で多くの刺激を受けました。
ビジネスアイディアコンテストへの出場経験もあるのですよね?
はい、最終的に卒業前に全員が参加する研究発表の場で、当時検討していたビジネスプランが学内優秀賞を受賞する事ができ、それを自信に学生起業を行いました。
ビジコンでの入賞から実際に起業につながったのですね。
そうなんです。しかし起業後は本当に山あり谷ありで、数多くの困難を経験しました。(笑)

大森さんは、今、振り返ってみて子供のころから、起業に興味があったと、ご自身で思われますか?
或いは、何かのきっかけがあったのでしょうか?
はい、中学生の時から将来は起業家になると決めていて、ずっと起業のアイディアを探していました。特に起業家や経営者の人を特集したドキュメンタリー番組が好きで毎週楽しみにしながら、アイディア収集を行っていました。
中学生からビジネスアイディア収集ですか?! まさにアントレプレナーな中学生ですね。周りに事業をされている方がいらっしゃったのですか?
私の親戚の多くが自営業だったので、意識せずに影響されていたかもしれませんね。
様々な国、海外のご経験豊富な大森さんですが、日本国内だけでなく、海外へ目を向ける理由があれば教えてください。
元々、ロシアを中心とした旧ソ連地域の地政学にとても関心があり、学生の頃からよく現地に渡航していました。繰り返し渡航しているうちに様々なビジネスチャンスに気づく瞬間があり、これは訪問国数を増やすともっと気づきが増えて面白いかもしれないと、そこから海外旅に没頭してしまい、気づくと114カ国に渡航していました。

114カ国への渡航は相当な数ですね! そして大森さんは今年の春から、オックスフォード大学大学院へ入られたという事ですが、冒頭でも少しお話がありましたが、毎月日本から飛行機でイギリスへ通学されているのですよね? 私は国際線での飛行機通学という選択肢があることに相当びっくりしたのですが、なにか理由はあるのでしょうか? 実際、毎月東京からロンドンへの通学はいかがですか?
現在所属しているExecutive MBAはフルタイムで働く忙しい経営層向けのプログラムなので、毎月1週間パートタイムとして授業に参加する事で経営学修士の学位が取れるプログラムとして設計されています。イギリスは通常1年で修士号を取るプログラムが多く、在籍しているプログラムはパートタイムである代わりに2年で修士号が取れる様に設計されています。
という事は、2年間、毎月飛行機通学なのですね!相当なフットワークの軽さです。
今は東京から通っていますが、実は元々、ロンドンに1年半ほど住んでいたので、最初のタイミングはロンドンから通っていたのですが、やっぱり日本からでは体力的、精神的に全く違い、本当に大変な日々を送っています。特に日本とイギリスを毎月行き来していると、時差や現地での過ごし方等で日本モード、イギリスモードに切り替える必要があり、忙しさがピークになると自分がどっちのモードになっているのか分からなくなってしまう時もあります(笑)
お疲れ様です!大森さんのビジネスへの情熱の深さを感じます。
まさに、学生×起業家、学業×事業のプロフェッショナル!でいらっしゃる大森さんですが、学業と事業を両立するメリットはどのようなところだと思われますか?
やはりビジネススクールで学んだ最新のトレンドやそこで形成したネットワークを直ぐに自分のビジネスに取り入れる事が出来る点だと思います。既にクラスメイト内で色々なビジネスが進行しており、自分も参加していますが一気にグローバルな視点がさらに磨かれ、自分一人では出来ない様な難しいプロジェクトも学内のネットワークを使うと直ぐに適切な人に繋がれるので、これまでとは見える視点や推進力が全然違うなと感じています。

最新のトレンドやネットワークはビジネスでは強い味方ですね。そしてそれをすぐにご自身のビジネスに取り入れる事が出来るスピード感ですね。大森さんはご自身の事業として、スタートアップの海外進出支援、また海外スタートアップの日本進出支援もされているとお伺いしました。
いわゆるインバウンドとアウトバウンド、現状としてはどのような傾向があるか、教えていただけますか?
ロシアやフランスで会社を経営していた際に現地の人から良く聞いたフィードバックとしては、海外進出先として最初に考えるのはアメリカやヨーロッパ、アフリカ等でアジアの場合は中国という答えが多かったです。日本についてはアニメや食文化で良く知っており、好意的な印象の方も多いですが、なかなか日本企業とのビジネスのコラボレーションや日本進出についてはイメージ出来ない方も多いと思います。そこで、自社で日本のマーケット概観やビジネストレンドを地道にお伝えする事で、様々なコラボレーションの可能性について実感してくれた印象があります。
確かに、まずはアメリカ、ヨーロッパ、アジアと考えますね(笑)海外旅行と同じ行先を考えがちでしょうか?(笑)
どうしても海外では日本のビジネストレンドを知る機会や意欲が少ないので、積極的なアピールをする事でもっと多くの海外企業の誘致が出来ると思っています。日本から海外で言うと、本当に多くの可能性があると思っています。日本の技術力やホスピタリティ等はもちろん海外でもトップレベルであり、多くの国で重宝されています。一方で国際ビジネスでの交渉という面でいうと、アメリカやヨーロッパは非常に上手く、日本はまだまだ改善出来る点が多い様に感じています。
大森さんには、本年度Megribaで開催する学生向けのビジネスアイディアコンテストの審査員も担当いただく予定ですが、大森さんが考える、学生時代にビジネスアイデアコンテストへ参加のおすすめポイントなどありましたら、教えてください。
学生の方がビジネスアイディアコンテストに出場する事で実際にビジネスを行っている方々から実務的なフィードバックをいただける機会があるのは非常に重要だと思っています。ビジネスアイディアを作っている段階だと全てが上手くいくストーリーに集中してしまいがちですが、実務的にはこういうリスクやトラブルがあるという事を事前に共有してもらえ、ご自身のプランに取り込めるとより実現可能性が高くなるのではと思います。
学生だと普段接することの少ないビジネスパーソンの方々からのフィードバックで、新たな気づきやブラッシュアップの機会となりますよね。
自分は学生時代にビジコンの運営等をインターンとして数多く行っていましたが、本当に多くの事を勉強させてもらいました。また、プレゼンや発表だけでなく、重要なのはビジコンが終わった後の交流会等でしっかり審査員や運営側の方々とお話をして、今後のビジネスの進捗があった場合に報告出来る様な関係性を作っておく事です。起業後は本当に多くの事が発生します。時には予想外のトラブルにも巻き込まれてしまうので、その際に社外に相談できる人が多いと心強いと思います。ぜひ積極的に楽しみながらビジコンをご自身の将来・キャリアに活用されることをお勧めします。
学生起業家ならではの貴重なアドバイスをありがとうございました! 本日は多くの学びをいただき、心より感謝いたします。今月末のMegriba全国学生ビジネスアイディアコンテストの審査会もどうぞよろしくお願いいたします!【インタビュアー:黒澤直子(Megribaインキュベーションマネージャー)】

大森 貴之さん(おおもり たかゆき)氏
ルーテックス株式会社( RouteX Inc.) Founder & CEO
学生時代にデロイトトーマツベンチャーサポート、Coral Capitalにてスタートアップコミュニティの運営に従事。京都大学経営管理大学院在籍時に学内優秀賞を受賞したビジネスプランを元に2018年 RouteX Inc.を学生起業として創業。海外のスタートアップ・エコシステムのリサーチを専門とし、世界中のスタートアップのビジネスモデルやテクノロジーの分析を行なっている。RouteX Inc. ロシア法人(戦争の影響により撤退)、フランス法人の設立に従事し、海外での事業立ち上げや交渉経験が豊富。
オックスフォード大学 Executive MBA (経営学修士) 在籍
モスクワ大学政治学修士課程中退
京都大学MBA (経営学修士) 修了
海外渡航歴114ヶ国
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